「アカン、これは、アカン…」
一口スープを飲むと、その圧倒的中毒性から強制的にリピーターになってしまう恐怖のラーメン店がある。
それが、千葉県柏市にある「王道家」だ。
独立した支店を合わせると、いまや7店舗を構えるまでになった、家系ラーメン界の一大勢力「王道家グループ」。
この記事は、王道家から800km以上離れたはるか遠くの県外に生息しているにもかかわらず1年間に60回以上王道家の本店に通った、とある王道家狂が、王道家の魅力を全力で伝える記事である。
<店舗情報>
- 店舗名:王道家(おうどうや)
- 住所:〒277-0852 千葉県柏市旭町2-1-6 金子ビル1F
- TEL:04-7143-1880
- 営業時間:(平日・祝) 11:00 ~ 26:00 (日) 11:00 ~ 25:00
- 定休日:月曜
- 駐輪場:あり(店舗前の自販機横)
- 駐車場:あり(5台ほど)
- 公式ホームページ:王道家公式HP
- アクセス:JR常磐線・柏駅西口から徒歩2分
来店〜食券購入
JR常磐線・柏駅西口から南に徒歩2分。
駅から少し離れた場所に、赤と黄色のド派手な看板で、そいつは姿を現わす。
すでにうまい。
俺ぐらいのレベルになると、店構えを見ただけで、すでにそのラーメン屋のレベルがわかる。
もうこれは、アレだ。明らかにうまいやつだ。
写真を撮り忘れたが、店の隣には5台ほど停めれる駐車場がある。
また、自転車で来た場合は、下の写真の奥にある自販機の前に停めれるようになっている。
この日は平日11時の開店直後に行ったのだが、すでに人が店内に入りきらず、「待ち」ができていた。
「お前らも、ハマってるんだな…。こいつによぉ…。」
待ち人に向かって(心の中で)そうつぶやきながら、食券を買いに店内へ入る。間違っても食券を買わずに列に並んではにいけない。
玄関前に置かれた看板も、切実にそう訴えているではないか。
券売機の前に来ても、うろたえる必要はない。
王道家のメニューはいたってシンプルで、ラーメンは
- ラーメン(並、中盛、大盛)
- チャーシューメン(並、中盛、大盛)
- つけ麺
- つけチャーシュー麺
の4つしかない。あとはトッピング、ライス、ビール、もしくは「まかない飯(チャーシュー、キムチ、たまご)」と呼ばれるご飯ものだけだ。
のりと味付けたまごには食券があるが、それ以外のトッピングは、食券とは別に後で店員に現金注文するようになっている。札しかもっていないようなブルジョワなやつは、券売機横の交換機で小銭をつくっときな。
ちなみに、豚バラ1枚20円のトッピングはうまいのだが、夜に行くとほぼ確実に売り切れている。
「豚バラは昼だけのお楽しみ」。これは、王道家狂なら誰でも知っている初歩知識だ。
王道家は毎月何かの商品がお得になるサービスがあるため、券売機横のホワイトボードはよくチェックしておくように。
このときは賄いめしが大盛り80円。もはや正気ではない。「極上のラーメンは、狂気の中から生まれる」心の中に刻んでおくとしよう。
入店〜注文
さて、食券を買ってしばらく外で待っていると、店内に案内される。
店員が注文を取りに来るタイミングは、「席に着いてから」と「空き席を待っているとき」の2パターンがあるが、ここではスタンダードな「席に着いてから」で解説していこう。
席についた後、まずは食券とトッピング分の小銭を目の前のカウンターの上に置く。
(こんな風に、小銭と食券がカウンターに並ぶ)
すると、タイミングを見計らって、店員がこう聞いてくるだろう。
「お好みはありますか?」
きたな。
そこでつかさず以下の3つを答える。
- ラーメンのお好み(味の濃さ、油の量、麺の固さ)
- トッピング(ある場合のみ)
- まかない飯の種類(チャーシュー、たまご、キムチ。これも買っている場合のみ)
例えば、
「味濃いめ油多め麺固めで、トッピングはほうれん草、からネギ、キクラゲ、まかない飯はチャーシューでタレ多めでお願いします」
みたいになる。
また、「麺少なめ」と頼むと、麺が少なくなる代わりに、トッピングをひとつ無料でサービスしてくれる。10円のトッピングでも100円のトッピングでもかまわない。どうせなら高いものを注文しておくとよいだろう(おすすめはほうれん草)。
ちなみに、この店は注文をすべて暗記して声で厨房に伝えるという謎ルールがあり、オーダー表というものが存在しない。
そのため、
「わんにーさん、しょうしょうかためこいめ、おくにーきくらげほうれんそうちゃーしゅー!めんまたまねぎあじこいめ!!はしらまかないめしちゃーしゅーだいにー!!!」
みたいに、わけわかるようなわからんような単語が常に飛び交っている。
注文をしてからラーメンが届くまでの間、セルフで水を汲みにいっておくとよいだろう。見逃しがちだが、給水機の横の棚は荷物をおけるようになっている。
卓上調味料は、
- ガーリックチップ
- 行者にんにく(緑のやつ)
- おろしにんにく(黄色のやつ)
- 醤油漬けにんにく(ピンクのふたのやつ)
- 千切り生姜
- マヨネーズ
- ラーメン酢
- コショウ
- 粗挽きトウガラシ
と、にんにくのバリエーションが意味不明に多い。
着丼〜完飲
さて、いよいよ着丼だ。
計算し尽くされたビジュアル。
立ち込める獣の匂い。
俺は、気がつくと目の前の相手に手を合わせ、黙想していた。
この一杯に行き着くまでに職人たちが流した、血と汗と涙が、自然と俺にそうさせたのだろう。
さて、と。
まず、手始めにスープを一口…
ズスズ……。
……
…………
……………………
「ゴッ!!」
殴られた。
たしかに、俺はそのとき殴られた。この一杯のラーメンに。
圧倒的な醤油キレと濃厚な豚骨のコク。そして、「これが食えねえなら、こっちから願い下げだぜ」といわんばかりのしょっぱさ。
そうだ、これが王道家なのだ。
油断していたら、体ごともっていかれる。
立ちくらみのする体を気力で奮い立たせ、武者震いを抑えながら麺をすする。
黄金色に輝く中太ややちぢれ麺。
相手にとって不足なし。
ズル、ズルズルッ…。
……
…………
……………………
「うますぎクソワロタ」
ハンパない。
もちもちで食べ応え十分な麺は、暴力的なスープにまったく負けていないどころか、「どっちが主役がわからせてやろうか?」と笑みを浮かべつつ、真っ向から主張してくるではないか。まるで雷神と風神の争いに巻き込まれたかのようだ。
ク、クソーーーッツ!!!
俺も負けてはいられない。
箸とレンゲを持つ手にも、かぜんと力が入る。
スマホを持つ手も震える。
カメラもブレる。
合法ドラッグといっても過言ではない家系スープにひたした「ほうれん草」、しっかりした噛み応えとスモーキーな香りが病みつきになる「燻製チャーシュー」。
ありとあらゆる角度から、俺はこの一杯のラーメンに満たされていく。
しかし、俺には忘れてはいけない任務がある。
そう、「味変」だ。
残る気力を振り絞り、
- おろしにんにく:スプーン一杯
- しょうが:適量
- ラーメン酢:レンゲ一杯
- コショウ:少々
をトッピングする。
うんま。
王道家のラーメンを食べるときほど、自分の語彙力のなさを恨むことはない。
そこから先は、正直言って記憶がない。
気がつけば、いつもように、俺の前には空になった丼だけがたたずんていた。
さよなら健康寿命。
おまけ(俺的おすすめトッピング3選)
さて、ここからは、俺的おすすめトッピングを3つ紹介する。
王道家にハマってしまったのなら、ぜひこれらを試して欲しい。
野菜爆盛りラーメン
オーダー「麺少なめ、トッピングほうれん草、野菜増し」
野菜増しにすると、もやしとネギが増えるが、海苔とほうれん草が無くなってしまう。そこを「麺少なめにしたことでもらえる1品トッピングサービス」でほうれん草をチョイスすることによってカバーするのだ。
一見そこまで量がないように見えるが、麺少なめでこのボリュームのため、満腹感はすごい。
麺は少なめで野菜は多め、しかも「650円」で食べれるコスパの良さ。ダイエット中にも王道家が我慢できないやつにはおあつらえむきだ。
豚バララーメン
オーダー「バラ5枚トッピングで」
夕方までにほぼ確実に売り切れてしまう、王道家名物「バラチャーシュー」は、ある種、昼限定のメニューと言えるだろう。
王道家の普通のチャーシューは、燻製されたスモーキーなチャーシューで、脂身がほとんどない。一方、豚バラチャーシュー(1枚20円)は、豚バラを使っているため、割とコッテリしている。
1人が注文できる限界の5枚を頼んでも、プラス100円しかいかない圧倒的コスパも魅力的だ。
オレスペシシャル
オーダー「麺少なめ、ほうれん草、辛ネギ、きくらげトッピング。まかない飯はチャーシュー」
ここまでくれば、もはや常連。
家系ラーメンのスープとほうれん草&きくらげのトリプルコラボは、マジで永遠に食える。この世の奇跡といっても過言ではない組み合わせだ。
また、辛ネギはいいアクセントになってくれるだけでなく、マヨネーズをたっぷりかけたチャーシューのまかない飯と一緒に食すと、脳の快楽物質が一気に満たされる。
60回以上通いつめて行き着いた、現時点での究極の組み合わせがコレだ。
さいごに
王道家の味は、はっきり言って好みが分かれる。
人によっては、「しょぱすぎて無理」という者もいるだろう。
それでもなお、地元民を始め多くのラーメン通に愛され続ける王道家に、俺はこの一句を捧げたい。
「王道家、ああ王道家、王道家」
じゃあな、みんな。いつかまた、王道家で。