「漢字・ひらがな・カタカナ」理想的なバランスは?それぞれの特徴と注意点

「硬すぎて読む気が失せる・・・」

「横文字多すぎて何言ってるか分かんない・・・」

「ひらがなばっかりでアホっぽく感じる・・・」

日本語には「漢字・カタカナ・ひらがな」の3つの表現があり、同じ意味・同じ言葉でも、どの表現の仕方を使うかによって受ける印象が違ってきます。

この記事では、

  • 理想的なバランス
  • それぞれの表現方法がもつ特徴と注意点
  • ひらく・ひらかないの目安

について解説していきます。

理想的なバランスは「3:7」

漢字・ひらがな・カタカナの理想のバランスには諸説ありますが、一般的には

「漢字(3):ひらがな(7):カタカナ(0〜1)」

が理想とされています。

この比率になっている文章は読みやすく、この比率から外れるほど「硬い」もしくは「幼い」文章になってしまうでしょう。

また、このことから分かりますが、カタカナは必要がなければ無理をして使わなくてもよいのです。

それぞれの表現方法がもつ特徴と注意点

漢字は「かっちりした印象」

漢字は読み手に「かっちりとした印象」を与えることができます。例えば、学会の論文や裁判の判決文などは、通常の文章よりも漢字の使用率が高く、非常に特徴的です。

漢字の無い文章はどこか締まりのない印象を与えてしまう一方、漢字が多すぎる文章は堅苦しい印象を与えてしまいます。

例えば、

昨日は遠方からお越し頂き誠に有難うございました。今後とも宜しくお願い致します。

と、

昨日は遠いところから来ていただき、本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

では、同じ内容でも漢字の比率で受ける印象がかなり変わってきます。ひとつの目安として、以下の割合は覚えておくとよいでしょう。(※漢字仕様の比率は様々な無料の測定ツールを使って調べると簡単に行えます)

20%:締まりのない文章
30%:もっとも読みやすい文章
40%:硬い感じの文章

(引用)『「大漢和辞典」を読む』紀田順一郎(編)

カタカナは「多様すると逆効果」

カタカナを使うときのポイントは「最小限しか使用しない」です。

さらに言えば、カタカナは別に無理して使う必要はありません。カタカナの名詞や「どうしてもカタカナでないとニュアンスが伝わらない」「カタカナの方が伝わりやすい」といった場合にのみ使うようにしましょう。

特にビジネスシーンでのカタカナの多様は、クドく頭の悪い印象を与えてしまいかねません。

例えば、

「クライアントと事前にアジェンダをし、ブラッシュアップを重ねてプランを立て、結果にフォーカスできるメンバーのみがアサインできるプロジェクトへゴーサイン。」

と言われると、途中で「もういいから普通に喋って」とうんざりしてしまうでしょう。

ひらがなは「幼さと柔らかさのバランス」

ひらがなは文章に柔らかい印象を与えることができますが、多すぎると「幼い」「ちゃんとしていない」といった印象を与えてしまいます。

例えば、

「いつもおせわになっております。せんじつ提出させていただいたお見積もりのけん、いかがでしょうか。じかんのあるときにご連絡いただけるとさいわいです。」

といったメールが取引先から来た場合、「・・・大丈夫か?」と心配になるのではないでしょうか。

ひらく・ひらかないの目安

漢字をひらがなにすることを「ひらく」と言います。

「ここは漢字の方がいいのか?それともひらがなの方がいいのか?」と迷ったときは、以下の目安を参考にしてみてください。

動詞が続く場合はひらく

  • 本を読みつづける(続ける)
  • 本を読みなおす(直す)

動詞が続く場合、後半の動詞を開くと読みやすくなります。

動詞はとじるが補助で使う動詞はひらく

  • 手を挙げる(動詞)
  • 子どもに本を読み聞かせてあげる(補助動詞)

明確な意味をもつ動詞はとじますが、それ以外の補助動詞はひらくようにしましょう。

副詞はひらく

  • まったく意味がない(全く)
  • もっとも高価な商品(最も)
  • ほとんどの人が休み(殆ど)

漢字でも書けますが、ひらいた方が読みやすくなります。

具体的な意味をもたない名詞はひらく

  • そのとき彼はこう言った(時)
  • 働くことが好きだ(事)
  • 彼の仕事に対する姿勢は鬼そのものだ(もの)

具体的な意味をもつ名詞(=実質名詞)以外の「とき」「こと」「もの」はひらくようにしましょう。

一般的にひらいた方がいい漢字

以下の漢字は特にこだわりがない場合はひらいた方がよいとされています。

漢字表記 ひらがな表記
頂く いただく
致します いたします
下さい ください
出来る できる
更に さらに
全て すべて
既に すでに
是非 ぜひ
中々 なかなか
一つ/二つ ひとつ/ふたつ
良い よい
 様な ような
ほか
一旦 いったん
当たって あたって
余り あまり
未だ いまだ
色々 いろいろ
恐らく おそらく
ほど
私達 私たち

まとめ

表現方法のバランスは、実際に文章を書くときにすべて気を使うのは難しいでしょう。あくまで「大まかな目安」として捉えておいてください。

また、「ひらく・ひらかない」に関しては、まずは一般的なルールに慣れ、その後に自分独自の表現ルールを設定していくとよいでしょう。