「話のツジツマが合っていない・・・」
自分で書いた文章を読み返して、こう思うことはありませんか?ツジツマが合っていないということは、論理的ではないということです。
筋道立てて論理的な文章を書くには、「演繹法(えんえきほう)」を知っておくとよいでしょう。
演繹法は帰納法(きのうほう)と同じく、論理的な考え方や文章構成をするうえで欠かせません。それでは、例を挙げながら注意点も一緒に解説していきます。
演繹法とは
演繹法とは「三段論法」とも呼ばれ、
「一般的な事柄(もしくはルール)と観察事項を結びつけ、結論を導き出す考え方」
です。
- 一般的な事柄(=誰もが納得する前提)
- 観察事項(=個別の事例)
- 結論
と考えると分かりやすいかもしれません。
例えば、
- 企業から個人情報が漏洩するのは良くないことである(=誰もが納得する前提)
- 我が社は個人情報漏洩の対策をしていない(=個別の事例)
- 我が社は個人情報漏洩の対策をする必要がある(=結論)
の場合、演繹法となります。
この他にも、
- グーグルアナリティクスを導入するメリットがデメリットを上回るとき、グーグルアナリティクスを導入する(=ルール)
- 検討の結果、導入のメリットの方が大きいことがわかった(=個別の事例)
- グーグルアナリティクスを導入すべきだ(結論)
といった「ルール」を適用する方法もあります。
演繹法は結論までがひとつの流れになっているため、聞いている相手も納得しやすい方法です。
しかし、演繹法を使用する場合はある点に注意しておかなくてはいけません。
演繹法の落とし穴
演繹法の落とし穴は、
「そもそも前提が間違っていると、結論が間違ってしまう」
という点にあります。
例えば、
- 人の体を刃物で刺すことは犯罪だ(=誰もが納得する前提)
- 土屋は人の体を刃物で刺している(=個別の事例)
- そのため、土屋は犯罪者だ(結論)
一見納得してしまいそうですが、土屋さんが「外科医」だった場合はどうでしょうか?手術のときに患者の体をメスで刺すことも十分にありえます。
そのため、この場合は「人の体を刃物で刺すことは犯罪だ」という内容は、「一見正しそうだけど、実は間違っている前提」といえるでしょう。
落とし穴の回避方法
演繹法の落とし穴はどうすれば回避できるのでしょうか?
もっとも手軽で簡単な方法として、
- 「その前提はどのような状況・パターンでも当てはまるか、をさまざまな角度から検証する」
- 「前提を具体的にする」
のふたつがあります。
例えば、
「人間は死ぬ」
という前提は間違いないものであり、誰にも疑いの余地はありません。
しかし、
「人を刃物で刺すのは犯罪」
という前提は、一見正しそうに見えるものの、「外科医」といったパターンもあるため、前提としては誤りです。
この誤りは「さまざまなパターンを考える」もしくは「外科医などの法律で認められている場合を除き、人を刃物で刺すのは犯罪である」といったように、前提をより具体化することによってある程度防ぐことができるでしょう。
まとめ
演繹法はロジカルシンキングの基本であり、論理的な文章を書くのには欠かせない考え方です。
ただし、前提が誤っているとそれにともない結論も誤ってしまうので、「さまざまなパターンを考える」「前提を具体化する」などの対策を取るようにしましょう。