こんにちは。松田です。
最近、すごく気になるニュースが飛び込んできました。
日本漫画雑誌の絶対的王者・少年ジャンプの発行部数が、ついに200万部を切ったというニュースです。
ここ数年、「NARUTO」「BLEACH」「こち亀」といった長きにわたって少年ジャンプを支えてきた名作たちや、「暗殺教室」「黒バス」「トリコ」などの新世代たちが次々に終了を迎えて、いつかくるだろうとは思っていましたが・・・。
1978年には、
- 「すすめ!!パイレーツ」
- 「キン肉マン」
- 「こち亀」
この頃からいる! - 「サーキットの狼」
作者の池沢さとし先生は同郷 - 「ドーベルマン刑事」
- 「リングにかけろ」
トーナメントとか、見開き大ゴマで必殺技とかジャンプバトル漫画の礎を築いた作品 - 「コブラ」
メープル超合金のカズレーザーの元ネタ
などなどの名作たちの力によって発行部数が200万部を超えたのを境に、どんどん人気漫画を投入し、「ドラゴンボール」「スラムダンク」「幽遊白書」の3本柱が揃った1994年には、発行部数653万部というギネス記録※にも認定されるまでに成長しました。
※最多発行部数を記録した週刊漫画雑誌
しかし、前述の3本柱が相次いで終了した1990年代中盤からずるずると部数も落ちていき、「GTO」「金田一少年の事件簿」でイケイケになっていた少年マガジンに抜かされてしまいました。
その後、「ONE PIECE」「NARUTO」などの作品が開始して、少年マガジンの部数を抜き、王者に返り咲いたものの、部数はじわじわと下がり続けていました。2010年くらいに一度は回復傾向を見せたものの、瞬間的なものですぐに下降路線に・・・、そしてついに、約40年ぶりに200万部を切りました。
思ったほどでも無い・・・と思う
ただ、予想していたよりは落ちてないかな〜というのが、個人的な印象です。
下げ幅でいえば、90年代中盤の「DB」「スラダン」「幽白」が抜けたときの方がヤバかったし。1995年の650万部前後から、1997年には405万部まで落ちて、その落差は約250万部ですからね。
実際に「NARUTO」が抜けた2014年頃の発行部数は270万部弱、およそ3年での下げ幅は70万部程度で割合でいえば2割5部くらいです。2年で約4割落ちた1997年よりかは、持ちこたえてるような気がします。
単行本売り上げも見てみましょう。
2014年のときの主力勢のコミックス売り上げがこんな感じでした。
ONE PIECE 76 3,185,018 NARUTO 72 1,324,693 暗殺教室 12 1,012,500 ハイキュー!! 14 991,094 黒子のバスケ 30 825,103 BLEACH 66 565,451 ニセコイ 15 456,911 銀魂 57 407,649 ワールドトリガー 9 361,399 トリコ 33 336,125 合計 9,465,943 出典:オリコン
対して、2017年現在の主力の売り上げがこちらです。
ONE PIECE 84 2,595,369 ハイキュー!! 25 757,219 僕のヒーローアカデミア 13 464,478 食戟のソーマ 23 376,229 BORUTO 2 305,926 ワールドトリガー 18 275,748 銀魂 68 206,548 ブラッククローバー 10 140,385 約束のネバーランド 3 122,494 ゆらぎ荘の幽奈さん 5 110,861 合計 5,355,257 出典:オリコン
50万〜80万部クラスがごっそり抜けたので、かなり落ちていることがおわかりいただけると思います。上位10作の合計値を比較したときの下げ率は、だいたい3割5分といったところです。
単行本売り上げの落ち方から見ても、ジャンプ本誌が持ちこたえている感じがあると思います。
何より「こち亀」が抜けることで、惰性で読んでるオッサンがごっそり抜ける、というのが僕の予想だったのでそう考えると思ったほどダメージは無かったかな〜と。
電子版もある
また、2014年9月には電子版の少年ジャンプが毎週配信されるようになりました。もちろん、発行部数には電子版は含まれていません。
電子版がどのくらい売れているのか正式な発表が無いのでわかりませんが、割と普及しているんじゃないかというのが僕の考えです。
というのも、スマホの普及率もアホみたいに高くなってきてアプリで漫画を読むのも普通になってきたこと、場所を取らず捨てる必要が無いこと、価格が安いことなど様々なメリットがあるから。
紙版を購入した場合、1ヶ月に4号発行されたと仮定すると280円×4=1,120円となります。対して電子版は、定期購読で月900円(5号の月でも、4号の月でも一律)なので200円以上のお得になります。
置き場所や捨てどきに困っていた僕も、ちょうど「NARUTO」が終了した次の号から電子版に切り替えました。
これから少年ジャンプを支えていくヤツら
もちろん、200万部を切ったからといって終わるジャンプではありません。
次世代を引っ張ってくであろう作品も、多数控えています。
僕のヒーローアカデミア
個人的にずっと押してる作品。タロログで漫画記事を書けば、必ずと言っていいほどどこかにねじ込んでます。
連載開始以降、編集部からの扱いも良かったのですが、アニメ化してからはさらにプッシュされるようになりました。
集合表紙での扱いも、「ONE PIECE」についで2番目に大きい。
アニメも昨年の4月に放送され、現在、読売テレビ・日本テレビ系列で毎週土曜の夕方5時半から放送されています(コナンの前!)。
視聴率も1期のときより高めで推移しているので、注目度も上がっているんじゃないかと。
ブラッククローバー
すでにアニメ化が発表されている、王道バトル漫画。
あまり深みがありませんが、その分読みやすくわかりやすい作風が低年齢層に受けやすいんじゃないかと思います。
アニメ化発表からだいぶ時間が経っていますが、未だに放送枠の発表がまだなのが気がかりです。子供が見やすい夕方や土日であれば良いですね。深夜じゃちょっときついと思います・・・。
約束のネバーランド
まだ始まって間もないですが、すでにネット界隈で話題になっている作品です。コミックス売り上げも上々。
ジャンプらしくない作風が特徴ですが、「ジョジョの奇妙な冒険」や「デスノート」など昔からジャンプらしくない作品が、雑誌の幅を広げてきたという面があります。「ネバラン」も、読者層を広げるのに一役かうのではないかと期待しています。
ゆらぎ荘の幽奈さん
エロ枠。単行本の乳首修正のおかげか、コミックス売り上げもすこぶる良いです。
※参考
我が社長は、今のジャンプで唯一読んでいないそうですが、雑誌の幅を持たせるためにもこういった作品は必要だと思います。
鬼滅の刃
最初の頃は注目度も低かったですが、独特な世界観と画風でだんだんと注目度が上がってきた漫画です。
単行本売り上げも、オリコンランキング圏外で数字すら出なかった1巻から、最新6巻は8万部以上にまで伸ばしました。伸び率でいえばダントツトップです。
禰豆子可愛い。
ほかにも期待の新星が!
今年に入ってからは、異例の新連載6作スタートというのもありました。全部が全部、ヒットするとは限りませんが、半分はヒット経験があるベテランの先生方による新作です。こちらも期待大。
※参考
また、最近では次のようなニュースもありました。
ジャンプが年に2回行っている新人漫画賞・手塚賞に応募があった作品の中から、特定の応募者に対して編集部に連絡をくれと呼びかけた、というニュースです。
これに対してネット上では、「ついに、オダッチ(ワンピ作者の尾田先生のこと)以来の天才がきたか!」と話題になっています。
過去にこういったことは、なにわ小吉先生くらいしか思い出せないほどレアなケースで、本当に異例中の異例です。個人的に手塚賞出身は、あんまりその後大成しているイメージは無いのですが、期待せざるをえないですね。
他の雑誌の方がヤバい
そもそも漫画業界全体的に、雑誌の売り上げは下がり続けているんです。
ライバル(個人的にライバルとは言えないと思っている)である、少年マガジンも100万部割れ、少年サンデーも30万部割れと、大きく売り上げを落としています。
確か、ここ数年で売り上げが一時的にでも回復した漫画雑誌は、「妖怪ウォッチ」が空前絶後のブームだった頃のコロコロコミックくらいのはずです。そのブームの沈静化後は、やはり下降傾向にあります(ベイブレードで一時持ち直した感もありますが)。
漫画雑誌には新陳代謝も必要
今回の部数効果の主な原因となっていると思われる人気作品の相次ぐ終了ですが、これも仕方ないというか必要なことではあると思います。
「NARUTO」がアニメ化した頃から上位陣がほぼ変わらず、連載期間10年以上の作品がゴロゴロしていたような状態は、「少年」漫画雑誌としてはやはり不適切と言わざるをえないでしょう。
そんな流れを断ち切るためにも、思い切った決断はどこかで必要だったのだと思います。そんな決断を下した現少年ジャンプ編集部、とくに編集長である瓶子吉久(へいしよしひさ)氏の功績は大きいのではないでしょうか。
瓶子氏といえばまだいち編集者だった頃、既婚者であったにもかかわらず、ジャンプで連載していた某女性作家と不倫状態になり後に離婚。さらに、氏が当時担当していた木多康昭先生の「幕張」内にてそのことをバラされるという、とてもチャーミングな方です。というか、よく掲載できたな・・・。
いつもギリギリのラインを攻める、木多先生の新作はこちら↓
そんな大きな転換期を迎えている少年ジャンプに、今後も期待をしたいです。
しまぶー、早く来い!
おわり